2017.10.04
インサイドセールスとは?営業手法からメリット、ポイントまで徹底解説
インサイドセールスとは?営業手法からメリット、ポイントまで徹底解説
最近「インサイドセールス」という言葉をよく耳にするようになりました。インサイドセールスとは顧客と直接面談せずに電話やメールなどを使っておこなう営業手法のことです。これに対して実際に顧客と面談しておこなう営業活動をフィールドセールスといいます。
インサイドセールスとフィールドセールスを分業化し、インサイドセールスで見つけた見込み度の高い顧客にフィールドセールスをおこなうことで効率的な営業活動が期待できるようになるのです。今回はインサイドセールスのメリットと導入する際のポイントについてまとめてみました。
インサイドセールスってどんな営業手法?
インサイドセールスとは、顧客と面談することなく電話やメールなどで定期的にアプローチして顧客の育成をおこなうセールス活動のことです。自社の商品やサービスに興味のある見込み度の高い顧客へと育てるとともに、顧客を精査して営業へ引き渡すことができるようになります。また既存客をフォローしてリピート購入につなげる活動もインサイドセールスに含まれると考えてください。
従来の営業手法ですと同じ営業マンがインサイドセールスとフィールドセールスの両方をおこなうことがほとんどでしょう。多くの営業マンは見込み客を見つけてアポを取り、面談を重ねて成約し、その後のフォローまでも一人で行っているのです。
しかしインサイドセールスとフィールドセールスとでは求められる能力も違ってきます。例えば提案力のある営業マンやクロージングする能力の高い営業マンに電話で見込み客を見つける業務を担当させるのは大きな損失であるといえるでしょう。またクレーム対応で手一杯になれば、新規開拓はおろそかにならざるを得ません。
このような問題を解決して営業活動を飛躍的に効率化できる手法としてインサイドセールスとフィールドセールスの分業化が注目されています。
インサイドセールスを導入するメリット
ではなぜインサイドセールスの手法が注目を集めているのでしょう?
従来の営業スタイルは飛び込み訪問を重ねる、アポを取るために電話をかけ続けるというのが主流でした。しかしネットの普及に伴って簡単に商品に関する情報が収集できるようになったため、企業側からの一方的なアプローチは断られやすくなっているのが実情です。また自社の商品やサービスに興味のない顧客にいくらアプローチしても受注に結びつく可能性は低いでしょう。
この頭打ちの状態を打開できるのがホームページや展示会、セミナーなどで獲得した見込み度の高い顧客に対してアプローチするインサイドセールス手法です。しかし同じ営業マンが電話でアポを取り面談をしていたのでは、とても効率の悪いものになってしまいます。面談の時間や顧客までの移動時間を考えるとアポを取るために電話できる時間も限られてくるでしょう。
そこでインサイドセールスとフィールドセールスを分業化し、電話でアポを取るチーム、顧客と面談して成約するチームに分けることで営業活動の効率化や売上アップにもつながるのです。
インサイドセールスが果たす3つの役割
インサイドセールスは、顧客とのコンタクトを数多く持つことで商談の機会を増やし、成約に貢献します。最終的な目的を実現していく上で、複数の重要な役割を同時に担っているといっても過言ではないでしょう。
1つは、強固な関係構築の元となる顧客とのコミュニケーションづくりです。新規顧客、既存顧客ともに、良好な関係性が保てなければ、商談には至りません。最初の接点から徐々にコミュニケーションを深め、顧客の営業情報を収集すると同時に、顧客自らが業務上の課題や不満を明かしてくれるような関係の構築を目指します。
インサイドセールスがおこなうのは、直接的なセールスを目的とするものではありません。営業担当者がスムーズに商談を進めるための材料を、マーケティング戦略に沿って収集していきます。しかし、一方的な情報収集で、信頼感が生まれることはまずないでしょう。顧客に対しても有用な情報を提供し、歓迎されるコンタクトを継続していく必要があります。
2つ目は、収集された情報の整理、精査です。成約におけるキーパーソンや、関連のある人物、ターゲットのニーズ、現状などさまざまな情報の断片を意味のあるものにまとめます。具体的な方向性がみえれば、有効なセールスリードとして営業に引き渡すことができるというわけです。
またデータを分析することで、顧客のセグメント化が容易になり、各ステージに合わせたプロモーションを実行できます。プロモーションの展開に伴い、詳細なヒアリングから商談の糸口となる情報が得られれば、セールスリードとして提供できる段階に入ることができるでしょう。
3つ目の役割は、顧客フォローのバックアップです。インサイドセールスが営業に対するリマインドや、顧客が持っている契約意思のレベルの観察をおこないます。
特にリードタイムが長期化する案件については、営業担当者だけでは成約までの関係性が薄くなりがちです。しかし、インサイドセールスは営業と緊密に連携し、表裏一体となって成果に向かうことができます。ただ電話やメールで顧客に連絡を取るというだけではなく、いかに有益な情報を獲得し、営業に効果的に活用させられるかが、インサイドセールスの存在意義なのです。
インサイドセールスは、マーケティングとセールスの仲立ちとなり、セールスリードの創出をおこない、さらに顧客との関係性が半永続的なものとなるよう、絶えず新鮮な情報を営業に提供し続けます。従来の営業手法では関係が途切れがちな傾向にある顧客層からも、取りこぼしなく成果が挙げられるシステムづくりが、インサイドセールス活用の命題です。
組織力の厚みを増し営業力を強化する
インサイドセールスは、営業のための顧客管理の強化策です。営業担当者のみの接点づくりとは比較できないほどの、セールスリード創出が期待できます。さらに顧客のコンタクト履歴を蓄積することで、リアルタイムの状況まで網羅する顧客データベースが構築することができるでしょう。
基本的なインサイドセールスは、特定のスタッフが企業を担当する方式ではなく、さまざまな人間が顧客との接点を持ちます。多角的に収集された情報は、企業全体で把握することができ、誰もが顧客について均一な知識を得られるわけです。これにより、営業担当だけがセールスについて悩むのではなく、必要に応じて複数部署がからみ、対策を検討できます。
強力な顧客データベースは、営業戦略の要です。顧客側の状況変化に対応した、陳腐化しない情報を得るにも、インサイドセールスは非常に有効といえるでしょう。企業の組織力は、意志疎通が重要です。情報共有がうまくできないと、組織全体の動きがぎくしゃくし、売上にも影響が出てきます。顧客の情報を営業部だけで握っていては、組織力の強化につながりません。顧客情報データベースの整備により、新しいアイデアや切り口が発案される可能性もあります。
インサイドセールスによってもたらされる顧客情報を段階別にセグメント化することで、各プロモーションのターゲット数が明確になり、無駄のないマーケティング戦略が実行可能です。ときには顧客の現況から、戦略の見直しが図られる場合もあるでしょう。
世の中に氾濫する情報の中で、顧客から認知されるためには相当な工夫が必要です。似通った商品やサービスが選ぶ側を混乱させ、ニーズをみえにくくしていきます。インサイドセールスは自社の差別化と、顧客からの認知度向上に大きな役割を果たしており、各企業に合わせた情報を提供していくことで、潜在する顧客をセールスリードに引き上げていけるでしょう。
インサイドセールスがおこなうのは、一方的な商品やサービスの売り込みではありません。顧客に対して自社の基本的な情報を提供し、反応から成約の可能性を探りだします。これまでの営業が絞り込んだターゲットをとらえていくのに対し、インサイドセールスはターゲット枠を広げ、ニーズの発見と可能性の洗い出しをおこなってセールスリードのタネとして育てていくことが可能です。
畑が広いほど多くの収穫量が見込めるように、インサイドセールスはアプローチする候補を増加させて成果を拡大させます。顧客の詳細な情報を集め、丁寧にケアしていくことで、営業力を大きく向上させていけるでしょう。
インサイドセールス導入のポイント
インサイドセールス手法を導入するにあたっては、フィールドセールスとの分業化をおこなうことになります。一人ではなく複数の人間や部門で管理しようとすると、どうしても責任の所在が曖昧になりがちで連携ミスも出やすくなるでしょう。そのためインサイドセールスを導入するにあたっては、両部門できちんと情報を共有できるシステムづくりとルールづくりが大きなポイントになります。
すべての顧客について電話やメール、商談などのやりとりを記録し、誰もが必要なときにすぐに参照できるように共有しなければなりません。顧客リストの全体管理は誰がおこなうのか、どのタイミングでインサイドセールスからフィールドセールスにひきつぐのか、顧客フォローはどのタイミングで誰がおこなうのかなど細かなルールを決める必要もあるでしょう。
またインサイドセールスとフィールドセールスの両部門をしっかりと管理する責任者の選任も必要になります。営業全体で情報を共有し、インサイドセールスとフィールドセールスとの連携がうまくできれば成約率アップや売上アップも期待できるでしょう。
インサイドセールスで重要なのは顧客データの量と質
インサイドセールスをおこなうためには、セールス相手である見込み客のデータが必要になります。できるだけ多くの見込み客データを得るためには、ホームページからの問い合わせや資料請求、展示会、セミナーなどデータを得るための仕組みづくりが重要です。
自社の商品やサービスに興味のある人と接触する機会をどれだけ増やすことができるかで、集められる見込み客データの数も違ってきます。継続して自社の商品やサービスに興味のある見込み客を集める仕組みづくりができれば良質な顧客データベースの構築が可能です。データベースが良質であればインサイドセールスによって商談を設定できる確率は大きく高まるでしょう。
顧客データベースには顧客の属性や見込み度、過去のヒアリング内容なども記録しておく必要があります。顧客データベースをきちんと管理して全体で共有することができれば、効率的な営業活動が可能になり成約率アップにもつながるのです。
会社全体の営業スキルを高めるインサイドセールス
従来の営業スキルは営業マン個人のものであって、社内で共有化されることはあまりありませんでした。しかしフィールドセールスとインサイドセールスを分業化することで、それぞれの営業段階で効果的な手法が明確になってきます。これをマニュアル化して社内で共有すれば、会社全体の営業スキルを高めることも可能です。
もし新規顧客の開拓が思うように進まない、営業マンが既存客のフォローで手一杯になっているというような状況であれば、インサイドセールス手法の導入を検討することをおすすめします。フィールドセールスとインサイドセールスを分業化することで、営業活動が効率的になって商談数が増え、成約数も増えることが期待できるでしょう。