2023.06.26
インサイドセールスの成果を左右する顧客セグメントとは?
目次
インサイドセールスにおいて、見込み顧客をより深く理解することが成功への鍵を握ります。
その「理解」のために必要なのが、見込み顧客を分類することです。これを顧客セグメントと言います。
最適な顧客セグメントをおこなうことで営業の精度が高まり、さらに成約率アップへとつながるからです。
本記事ではインサイドセールスに欠かせない顧客セグメントのポイントと流れについて徹底解説します。
マーケティングオートメーションを導入するにしても顧客セグメントの仕方を知っておいて間違いなく損することはありません。
インサイドセールスにおける顧客セグメントの重要性
顧客によって購買意欲の状況は異なります。
「購入してもいいと思っている顧客」「購入を検討中の顧客」「他社の商品と比較している顧客」「多少なりとも関心がある顧客」「関心がなく購入意思が低い顧客」といったように、顧客によって購買意欲に差があるということです。
これは当然ですが、購入意思が低い顧客にアプローチするより、購入意思が高い顧客にアプローチする方が成約する可能性は上がります。
そのため、インサイドセールスで成果をあげるにはこうした顧客セグメントが必要です。
「購入してもいいと思っている顧客」がいるのにアプローチしないのはもったいないですし、「購入意思が低い顧客」に対して無駄に多くのリソースを割くのは非効率に他なりません。
営業に割り当てられるリソースは限られています。顧客セグメントは効率よくインサイドセールスで成果をあげるために不可欠な作業です。
マーケティングにおいて「顧客理解」は基本。その一環として、顧客セグメントを最初に行うようにしましょう。
顧客セグメントとは
マーケティングでは、共通の属性やニーズを持つ顧客を同じグループに分類することを「セグメンテーション(セグメント化)」と呼び、
日本語では「市場細分化」と訳されます。「セグメント(顧客属性の分類)」に応じて顧客を分類し、顧客理解を深めることがセグメンテーションをおこなう目的です。
各セグメントの特徴を理解することで最適なアプローチの方法や最適なタイミングを選択できるようになります。
セグメンテーションでは以下の4つの変数がよく使われるので、ぜひ参考にしてください。
地理的変数(ジオグラフィック)
地理的要因で顧客をグループ分けする変数です。
国(地域、都市、市区町村など)、気候、人口密度、文化、食習慣、宗教など、その土地の特性を理解して分類します。
人口動態変数(デモグラフィック)
性別、年齢、家族構成、職業、学歴、年収など、その人固有の属性情報によって分類します。
消費ニーズの大部分が人口動態変数と関係していることもあり、セグメントの中でも最も使われる変数です。
心理的変数(サイコグラフィック)
ライフスタイル、価値観、性格、趣味嗜好、思想など、見込み客の心理的な要素を使って分類します。
行動変数(ビヘイビアル)
曜日や時間帯、利用頻度、経路などから顧客の購買行動を分析して分類します。
マーケティングオートメーションツールを活用して得られるWebサイトの閲覧ログやメールの開封ログといったデータも活用できます。
BtoCの場合、上記のような地理的な属性や顧客の属性から設計します。
しかし、BtoBは、会社単位で市場を細分化していくので、BtoCよりも切り口は複雑です。
BtoB企業の場合はBtoCと少し異なり、次の切り口から細分化します。
・企業規模(従業員数、売り上げ)
・業界
・社風
・決裁権限の有無
・購入歴(他社からのリプレイス狙いか、新規導入か)
BtoCであれば個人のプロフィールが主となりますが、BtoBの場合は企業のプロフィールという考え方で検討していきましょう。
セグメンテーションは自社の強みと掛け合わせて考えることで効果が高まります。
インサイドセールスにおいても自社の強みをセグメンテーションに落とし込むことでマーケティング効率・営業効率を高めることができ、競争優位性を築くことが可能です。
どの層にアプローチするのが最も効果的なのかをセグメンテーションによって洗い出しましょう。
顧客セグメントを活用するための5つのポイント
1:行動履歴を分析する
顧客の行動履歴は購買意欲を判断する重要な要素です。自社に対してどういった行動をとっているかによって購買意欲の状況を分析します。
たとえば、メール開封率が高い、オウンドメディアによく訪問してくれている、展示会に参加したことがあるといった顧客は購買意欲が高いと判断できますよね。「ホットリード(すぐに商品を購入しそうな顧客)」である場合、早くフィールドセールス担当に引き継いで営業をかけてもらった方がいいでしょう。
何も行動を起こしていない顧客は購買意欲が低いため、別のアプローチが必要となります。
この状態でフィールドセールス担当に引き継いでも成約を得られる可能性が低いため、「コールドリード(購買意欲が低い顧客)」として分類し、ホットリードと分けなければなりません。
行動履歴を効率よく分析するならマーケティングオートメーションの導入をおすすめします。
多数の顧客の行動履歴を管理するには手間がかかりますが、マーケティングオートメーションなら複雑な作業を自動化でき、ホットリードの抽出もできるので、営業効率が格段に上がります。
2:リードスコアリング
顧客を属性・行動・興味・活性度といった項目に応じて購買意欲に点数(スコア)を付けて数値化することを「リードスコアリング」と呼び、以下の3つの項目から顧客に点数を付けていきます。
■属性(アトリビュート)
顧客の役職、所属する企業の規模、居住する地域、商品・サービスの利用状況など
■興味(インタレスト)
どれだけ自社商品やサービスに対する興味を持ってくれているか?商品サイトの閲覧、資料ダウンロード、展示会参加といった行動から分析
■活性度(アクティビティ)
いつその行動を起こしたのか?3日前に商品サイトの閲覧を閲覧した、1日前に資料をダウンロードしたといった行動の日付から分析
リードスコアリングはあくまでもひとつの指標で、必ずしも「スコアが高い顧客」=「購買意欲が高い顧客」であるとは限りません。
どのような基準でスコアリングするかによって精度が変わり、機械的な加点・減点では顧客の関心度を読み取るのは難しくなります。
特に活性度(アクティビティ)は要注意の項目です。たとえば1日前に行動を起こした顧客と1ヶ月前に行動を起こした顧客では購買意欲の状況が大きく異なります。
1日前に資料をダウンロードしたり展示会に参加したりといった行動を起こしている顧客の場合、購買意欲が高まっている可能性が高いので早くアプローチをかけた方がよいでしょう。
行動した日にちが近いほど購買へのモチベーションが高まっているので、チャンスを逃さないためにも早く営業をかけるのが吉です。
対して、1ヶ月前に行動を起こした顧客は、もう関心が薄れてしまっているかもしれませんし、すでに他社の商品を購入しているかもしれません。
行動してから経過した日数は非常に重要で、日数が経つほど購買意欲は薄れてしまいます。
リードナーチャリングの精度を高めるには、活性度で減点する基準を決めておかなければなりません。
たとえば直近2週間で商品サイトに訪れた履歴がない場合、関心が薄れていると判断して活性度から減点する、といった具合です。
しばらく商品サイトの訪問がなかったのに、ここ数日で頻繁にアクセスしている場合は再び関心が高まったと思われるので、加点して早めにアプローチした方がいいでしょう。
このように、リードスコアリングを活用する際はしっかりと加点・減点の基準を定めておくことが大事です。
スコアリングの加点・減点の基準は結果を分析しながら適宜修正し、精度を高めていく必要があります。
3:ロイヤリティスコア
「ロイヤリティ(Royalty)」は「忠誠」や「忠実」といった意味の単語です。マーケティングでは企業やブランド、商品への「愛着」を表し、愛着の大きさを「顧客ロイヤリティ」が高い・低いと表現します。
「ロイヤリティスコア」は企業やブランドに対する愛着の度合いを数値化した指標です。
ロイヤリティスコアが高い顧客は満足度が高く、リピーターになってくれたり、口コミで宣伝してくれたりする可能性が高くなります。
反対にロイヤリティスコアが低い顧客は、何かしら不満を抱えているか関心がほとんどないため、そのままでは離脱してしまうことがほとんどです。
関心が低いと比較検討の候補にすらあがらないので、成約する可能性はほとんどゼロに近いと考えてください。
ロイヤリティスコアもインサイドセールスの顧客分類に役立つ指標で、点数によって顧客を分けていきます。
ロイヤリティスコアが低い顧客が多い場合、早めに策を打たないと顧客がどんどん離脱していってしまうでしょう。
ロイヤリティが全体として平均的である場合、取り立てて不満はないけれど満足もしていないため、よい商品があればそちらに流れてしまう恐れがあります。
この中間層をどうロイヤリティが高い層に持っていくかがインサイドセールス担当者の腕の見せどころといっても過言ではありません。
ロイヤリティを高めるには顧客のニーズを引き出し、継続して育成することが肝心です。
商品やサービスに対する満足度だけでなく、親身になった対応も顧客ロイヤリティに影響します。顧客に合わせて適切にコミュニケーションをとることでロイヤリティを高めていきましょう。
4:リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)
「リードクオリフィケーション」は、見込み顧客の中から購入意欲の高い顧客を絞り込み・選別することです。
見込み顧客をステータスで分類して購入意欲の高い顧客を抽出し、効率よく営業ができるようにします。
これは、見込み顧客の中でも関心の度合いが異なり、情報収集段階、比較段階、検討段階とステータスによってアプローチの仕方を変える必要があるからです。
情報収集段階の顧客はまだ購入意思が低いため、リードクオリフィケーションには選別せず、メール配信や展示会案内などでアプローチして購買意欲を高めていきます。
比較・検討段階に入ると購入意思がかなり高まっているため、リードクオリフィケーションに選別して電話や訪問で積極的にアプローチをおこないます。
購入意思が高まっているのにリードクオリフィケーションの対象外にしてしまうと成約のチャンスを逃すことになってしまうでしょう。
リードクオリフィケーションの精度によって成約率が変わってくるので、インサイドセールス担当者はしっかり選別しなければなりません。
選別の精度が悪くてそれほど購入意思が高まっていない顧客をフィールドセールスに送っても、成約に至る可能性は低いです。
リードクオリフィケーションの精度を高めるには、顧客の行動を分析して適宜修正していく必要があります。
5:リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
「リードナーチャリング」は、「見込み顧客の育成」という意味です。
リードクオリフィケーションで購入意思が高い見込み顧客に選別されなかった顧客は、購買へのモチベーションを高めるために継続して育成していきます。
商品サイトへの訪問、資料請求、キャンペーンの参加といった何らかのアクションを起こした見込み顧客は少なからず関心を持ってくれているはずです。
リードクオリフィケーションの対象となる顧客を増やすには、関心があるうちに何かしらのアプローチをおこなって購入意欲を高める必要があります。
顧客のニーズをヒアリングし、顧客に合わせたアプローチの方法を探るのがリードナーチャリングの肝です。
見込み顧客の関心の度合いに合わせて個別にメールを送ったり、電話でアプローチしたりすることで購買意欲を高めていきます。
まとめ
より深く見込み顧客を理解していき、マーケティングの精度を高めるための手法として、顧客セグメントについて解説しました。
初期段階で正確性の高い顧客セグメントを行うことで、営業の精度も高まります。
リードスコアリングにしてもロイヤリティスコアにしても基準を定めることが肝心です。
思うような効果が出ない場合はスコアの付け方を適宜見直す必要があります。
顧客セグメントの基準がしっかりしていれば営業効率が上がり、比例して成約率も上がっていくことでしょう。業務の無駄を省くためにも、自社にとって最適な顧客分類の基準を見つけだしてください。