2024.04.30
コトラーの「マーケティング5.0」とは?
目次
フィリップ・コトラーについて
フィリップ・コトラーは、アメリカ合衆国の経営学者で、様々なマーケティング理論を発表したマーケティングの第一人者と呼ばれる人物です。
現在でもマーケティングの最前線で活躍しており、「マーケティングの神様」や「近代マーケティングの父」とも呼ばれています。
マーケティングの4段階
マーケティングの世界的権威のコトラーが提唱する「マーケティングの4段階」というマーケティング理論があります。
「1.0~4.0」に分かれており、それぞれの特徴を以下にまとめました。
1.0:製品主義
コストを下げる完璧な製品・サービスの提供を目指す
時代背景として、商品を安く大量に生産し、多く販売をするという考えでマーケティング戦略が立てられることが多かった。
顧客ニーズ<どのように商品・サービスを売るのかにフォーカスした時代だったと言える。
2.0:顧客志向
意図したターゲット顧客に喜ばれる製品・サービスを提供する
「製品中心」→顧客の志向を重視した「顧客中心」に変化。
顧客は経済的に豊かになってきたことで、本当に必要なものだけを買うようになったため、企業は顧客ニーズを知るための施策を積極的に行うようになった。
3.0:人間志向
利益追求だけではなく、社会的貢献を果たす
インターネットが普及したことにより、顧客は商品・サービスの価値を重視するようになった。消費者にとってどのような価値をもたらすのか?を考え、商品・サービスの開発、マーケティング戦略を練る時代と言える。
企業は社会問題や環境問題への解決策を提示するなど、価値主導を起点とした「人間中心」のマーケティングを行うようになった。
4.0:デジタル化を活用したより高い人間志向
カスタマージャーニーの変化(5A)に合わせたマーケティング活動
デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及により、デジタルメディア・チャネルが取り入れられるようになり「従来型からデジタルへ」シフトしたマーケティング戦略が立てられるようになった。
消費者にどのような自己実現をもたらすのか?を考えさせるマーケティングが必要となってきており、消費者をファン化するマーケティング施策が重要である。
4段階目のその先「マーケティング5.0」とは?
マーケティング5.0は、4.0の考えを更に推し進めたもので、ビッグデータやAIといった最新テクノロジーを活用して、顧客体験価値を高めようとするマーケティング手法です。
マーケティング5.0の具体的な施策として、以下の5つが挙げられます。
データドリブン・マーケティング
アジャイル・マーケティング
予測マーケティング
コンテクスチュアル・マーケティング
拡張マーケティング
データドリブン・マーケティング
収集した顧客データを分析して、マーケティング戦略の立案や改善に活用する方法です。
顧客データの例としては、ユーザー属性、行動履歴、購買履歴などがあげられます。
このようなデータは企業内外から収集され、顧客のニーズなどを把握するためのビッグデータとして使用されます。顧客一人ひとりに対してパーソナライズされたマーケティング活動が可能となります。
アジャイル・マーケティング
先に大まかなシステムを作成してリリースした後に、改善や拡張を加えていくアジャイル開発の概念をマーケティングに置き換えた手法のことです。
変化が激しい現代では、分散型・部署横断型のチーム作成や迅速な意思決定ができるフローの設定などのマーケティング手法が求められています。
予測マーケティング
機械学習が可能な予測分析ツールを活用して、マーケティング活動の結果を事前に予測する手法です。
従来の統計データを活用した方法ではなく、収集した顧客データや市場の変化をもとに行動予測します。
コンテクスチュアル・マーケティング
Webページ上のキーワードや文脈を読み取り、内容に合った広告を配信するマーケティング方法です。
文脈をもとに顧客ごとに“パーソナライズされた”インタラクションを提供します。
拡張マーケティング
「チャットボット」「バーチャル店員」など、人間を模倣できる技術を応用して、顧客体験の向上を目指すマーケティング手法です。
付加価値が低い作業をAIやロボティクスが行うことで、マーケターの価値提供能力を拡張することができます。
まとめ
マーケティング5.0は変化に富んだ現代にとって、取り組むメリットが大きいマーケティング方法論だと言えます。
マーケティング担当者は、マーケティング5.0の新たな理論を深く理解し、AI等の最新技術と人間の知見を上手く掛け合わせた取り組みを、会社全体を巻き込んで進めていくことが求められるでしょう。